酒さの構造を考える | 皮膚バリア編③ | バリア機能の構成要素と変化
1|なぜ構成要素を見るのか
皮膚バリア編②では、バリア機能において特に重要とされている角質〜顆粒層の大まかな構造を整理した。
この記事では、それらを構成する成分に注目し整理する。
・セラミド
・タイトジャンクション
・クローディン-1
これらは、酒さの病態において非常に重要であると考える。
2|角質層の脂質(セラミド中心)
皮膚において、セラミドは主に角質層の細胞間脂質に存在している。
セラミドは、脂質ラメラ構造と角質細胞脂質エンベロープ(CLE)の構成要素の一つである。
脂質ラメラは、セラミド・コレステロール・遊離脂肪酸などから構成され、水と油が交互に重なった構造を形成している。
この構造によって水分の蒸発が抑えられ、バリア機能が維持されている。
CLEは角質細胞の外側を覆う構造であり、結合型セラミドがタンパク質と結びつくことで、細胞に物理的な強度を与えているとされている。
セラミドには複数の種類があり、それぞれの構造や配置によってバリア機能への影響も異なると考えられている。
さまざまな要因によってセラミドの量やバランスが変化すると、バリア機能が低下し、皮膚トラブルにつながる可能性があるとされている。
3|タイトジャンクションとクローディン-1
タイトジャンクションは、細胞同士を非常に密接に接着させる構造である。
構成するタンパク質が細胞膜の縁で結合し、細胞の間を通る物質の流れを制御するゲートとして働くとされている。
具体的には水分・イオン・小分子・微生物由来物質などの移動を制御する。
タンパク質には複数の種類があり、構成によってさまざまな機能を持っている。
その中でも、クローディン-1(claudin-1)は皮膚バリアに必須とされている。
いくつかの炎症性皮膚疾患において、炎症によってクローディン-1が変化すると言われている。
酒さにおける皮膚の炎症という点で、共通の構造があるのではないかと見ている。
この仮説を持ちながら、構造が変化したときに何が起きるかを見ていく。
4|構造が変化したときに何が起きるか
セラミドの低下やタイトジャンクションの破綻など、皮膚バリアの構造が変化すると、次のようなことが起こるとされている。
・水分保持の低下(TEWL:経皮水分蒸散量の増加)
・皮膚透過性の上昇
・外部刺激の侵入(アレルゲン、化学物質など)
・神経刺激
・免疫活性化
・炎症閾値の低下
その結果、炎症が起こりやすい状態になる。
さらに、クローディン-1は炎症によって発現が低下するとされている。
つまり、炎症がタイトジャンクションをさらに弱める方向に働く可能性がある。
構造の変化が炎症を招き、炎症がさらに構造を変化させる。
この悪循環が、皮膚バリア低下の背景にある可能性がある。
5|観察との接続
これまで整理してきた構造を、自分の観察に当てはめてみる。
私には、化粧品で保湿をしていた時期に炎症を起こした経験と、
化粧品を使用しない状態でも炎症を起こした経験がある。
この二つは、一見すると別の現象に見えるが、
バリア機能の低下と炎症の構造という点が共通の背景として見えてくる。
基礎化粧品を使用しても明らかな肌トラブルが起きていないときは、バリア機能が正常に働いていた。
しかし何らかの理由によってバリアが破綻すると、通常であれば浸透しない肌の深部まで化粧品成分が侵入する。
それらが神経・免疫系を刺激し、異物として認識された結果、炎症が起きたと考えている。
一方、外的な刺激がない状態でも炎症が起きたという事実は、刺激の有無だけでは説明しきれない。構造の問題だけでも説明が完結しない。
この観察が示しているのは、バリア低下と炎症の背景に、外的刺激以外の要因が関与している可能性があるということかもしれない。
化粧品をやめて強い炎症が収まったとき、原因は外的刺激だったと考えていた。
しかしその後も慢性的な炎症は続き、化粧品を使っていない状態で症状が再び現れた。
この観察が、食事・腸との関連という視点を改めて引き出した。
次は腸・免疫の構造を見ていく。