酒さの構造を考える|病態モデルの更新について
1|この記事について
構造シリーズを通じて、酒さの病態を腸・免疫・神経・血管・皮膚の連動として整理してきた。
この記事では、そのシリーズを踏まえて更新した病態モデルを記録する。
以前の記事(2026年5月7日)で示した5層モデルから、観察と文献の整理を経て、構造の捉え方が変化した。
仮説の更新を記録しておくことが、この観察ログの役割の一つと考えている。
2|モデルの変化
以前のモデルでは、ヒスタミンを中心軸として腸・神経・免疫・皮膚が連動するという構造を示した。
今回の更新では、この構造をさらに深めた。
変化の核心は、酒さを「三つの系の調節異常状態」として定義したことにある。
神経系
免疫系
血管系
この三系が互いに影響し合いながら調節異常を起こしている状態が、酒さの病態の本質ではないかと考えている。
皮脂腺や角層は、この三系の出力が収束する場として位置づけた。
3|更新されたモデルの概要
モデルは6つの層から成り立っている。
第0層|素地
感作されやすい体質的な背景
腸管バリアの状態・DAO活性の個人差
神経・免疫系の先天的な反応性
第1層|閾値の低下
発症前に食事・環境トリガーが断続的に加わった時期
感作が蓄積し、閾値が段階的に低下していく過程
第2層|調節異常状態の確立
発症後に形成される病態の土台
三系の機能的・構造的変化が相互に増幅し合う状態
第3層|フレアと症状発現
トリガーが閾値を超えることで症状が現れる
ヒスタミンが最も強力な増幅器として機能する
第4層|慢性化のエンジン
三段階の構造変化として進行する
・感作の自己永続化(部分的に可逆)
・神経原性炎症の慢性化と血管構造変化(ほぼ不可逆)
・線維化(不可逆点)
第5層|フェノタイプの分岐
紅斑毛細血管拡張型をベースとして
丘疹膿疱型・鼻瘤型・眼型・複合型へと分岐する
4|このモデルの核心
以前のモデルとの最も大きな違いは、発症前の時間軸を明示したことにある。
症状が現れたのは突然だった。
しかし発症そのものは、突然ではなかった可能性がある。
発症前の食歴や経緯の分析、生理学的な構造の整理、既存研究との接続を重ねる中で、一つの見方に至った。
感作の蓄積と閾値の低下という時間軸が、症状の初出よりずっと前から進行していたと考えている。
5|慢性炎症層という概念
このモデルで重要な概念の一つが「慢性炎症層」である。
明確なフレアがない状態でも、神経・免疫・血管系の低レベルの活性化が持続している可能性がある。
フレアとして認識できる反応だけでなく、日常的に続く閾値以下の微細な反応が、酒さの病態を維持している可能性があると見ている。
これは構造シリーズで整理してきた相互フィードバックループと一致する観点である。
6|先行性の記録として
このモデルはOSF(Open Science Framework)に登録し、仮説提示論文として作成中である。
モデルの正式名称は「Neuro-Immune-Vascular Sensitization and Dysregulation Model」
略称はNIV-SDM(神経免疫血管感作・調節異常モデル)としている。
詳細なメカニズムや文献との整合については、論文のなかで提示していく予定である。
7|前提として
これは現時点の仮説であり、観察と文献をもとに構築中のモデルである。
この記事は、2026年6月2日のOSF登録時点でのモデルを記録したものである。
モデルはその後も更新が続いており、この記事はあくまでその時点での仮説の記録として残しておく。
仮説は今後も更新していく。